高解像度CGH

ViewingAngle.png

ホログラムでは「正にそこに物体があるように見える」ため,視点を変えるとそれにつれて像が自然に変化します.3D映像では,右図に示すように,視点を変えて像を見ることができる範囲を視域角と呼びます.ホログラムでは干渉縞パターンの回折によって入射光を曲げて再生像を作り出すため,CGHの視域角はCGH干渉縞の物理的解像度によって決まります(パターンが細かいほど回折する角度が大きくなる).

実際,CGHの視域角は次の数式で与えられます.
Eq-ViewingAngle.png
ここで,Δは干渉縞画像の画素ピッチ,λは波長を表します.そのため,波長が長いほど,また画素ピッチが細かいほど視域角が大きくなります.例えば,波長635nmの赤色の光で視域角45°を達成しようとすると,およそ0.8μmの画素ピッチが必要になります.しかし,縦横0.8μmの画素ピッチで縦横2,000画素の映像を表示した場合,サイズがわずか1.6mm×1.6mmの映像となってしまいます.画素ピッチを広げて10cm×10cmの映像サイズにすると,今度は視域角がわずか0.73°(画素ピッチ50μm)になります.

つまり,同じ画素数で視域を大きくすると映像が小さくなり,映像を大きくすると視域が狭くなってしまうことになります.そのため,CGHで映像の大きさと視域角の広さを両立しようとすると,どうしても画素数を増やす必要があります.例えば,赤色波長で視域角45°と映像サイズ10cmを達成するためには一つの方向に125,000画素が必要となり,水平・垂直共に同じ映像サイズで同じ視域角(→全方向視差)とすると,125,000の二乗で156億2500万画素が必要になります.

これが,CGHで「正にそこに物体があるかのような映像」を実現するために超高解像度画像が必要となる理由です.

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