2012年1月アーカイブ

「CGH(Computer-Generated Hologram)」はこの分野ではおなじみの言葉で,広く使われている.これは直訳すれば「コンピュータで発生したホログラム」である.ローマンが創作した用語であるが,3次元立体画像というよりも,どちらかというとホログラムの波面変換機能を用いた光学素子を指す用語として用いられてきた経緯がある.

そこで(というわけでもないが),立体画像あるいはディスプレイ用途のホログラムを計算機で作成する技術を指す言葉として,コンピュータグラフィックスに対応させ,コンピュータホログラフィという用語を提案している.このアイデアはすでにHodic Circular誌や光アライアンス誌,SPIE Newsroom,あるいは先日のIWH2011等で発表させていただいている.ここでは,IWH2011の発表資料に基づいて少しまとめておきたい.

コンピュータホログラフィは,CGHにとって代わる用語ではなく,CGHの立体画像という側面を強調した言葉であり,CGHを拡張あるいは明確化した概念と考えていただきたい.

 ComputerHolo1.png

上図はコンピュータホログラフィの概念をあらわしている.コンピュータホログラフィは,ポリゴンメッシュ等の数値モデルであらわされる3次元物体,写真・イラスト等の2次元のデジタル画像,さらにはデジタルホログラフィ技術でキャプチャされた実物体光波多視点画像などの素材を3Dシーン中に配置してホログラムを作成する技術である.下図にその3Dシーンの概念をあらわす.

 ComputerHolo2.png

コンピュータホログラフィの個々の素材データの光波は,数値合成あるいはキャプチャされ,光波ベースでデジタル編集されて3Dシーンを構成する.コンピュータホログラフィでは,最終的にシーン全体からの光波を計算して適当な参照光と数値的に干渉させることにより干渉縞パターンを求め,CGHとしてそれをホログラム化する.

このように作成されるコンピュータホログラムは,10億画素を超えるような十分なディスプレイ解像度で表示されると,古典的なホログラムに匹敵するような深い奥行き感を示す美しい空間像を再生することができる.基本的にはその干渉縞はデジタル画像データであるので,デジタルメディアにより蓄積,伝送などが可能である.

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