3D-TV CON 2011に参加して

| コメント(0) | トラックバック(0)

久しぶりにブログに戻ってきた.最後の記事から2か月経ってる・・・ こりゃ,だれも読んでくれるわけないわなぁ,と思いつつ近況である.

言い訳だけど,この2か月ほど,ほんとうに忙しかった.4月末に,(一応招待講演で)米国オーランドで開催されたSPIE: Defense, Secuirity & Sensing (DSS2011)に参加し,GWを挟んで,OSAのDigital Holography 2011(東大で開催),続いてトルコであった3D-TV CON 2011に参加と,立て続けに国際会議に出席した.その間に,学生諸君が発表する3次元画像コンファレンスや他の研究会の予稿を合計8本を添削したりとか,もう殺人的だった(いや,本当です).

天国だ・・

さて,表題の3D-TV CONだけど,この会議を知ったのは,昨年12月のIDW '10に参加した時(これも一応招待講演)だ.日立の方に2011年はトルコの良い場所でやりますよ~,教えてもらったのだった.それを聞いた時点から申し込み締め切りまで,確か2週間ほどしかなかったのだけど,「トルコの良い場所」というのにちょっぴり(いや,かなり?)魅かれて,西君,有馬君のネタで必死で原稿仕上げて申し込んだのだった.とういわけで、開催されたのは,トルコの中でもアンタルヤ(Antalya)というイスタンブールからさらに飛ぶこと1時間半ほどで到着できる地中海沿いの風光明媚なところであった。会場となったリゾートホテルでは、いったんホテル敷地内に入ると敷地内に5,6軒あるレストランや,たくさんあるバー、プールサイドバーからプライベートビーチのバーまですべての飲み物(アルコールも含む)と食べ物が24時間一切無料(というかホテル利用料金に含まれる)という大変ありがたい、呑み助には天国のようなところだった。

Turkey 035.JPG国際会議

3D-TV CONは、オープニングの挨拶をされたコンファレンスチェアのトルコBilkent大学のOnural先生の話によれば、2007年にEUの3D-TV研究プロジェクトに触発されて始まり、そのプロジェクトの終了後も続いている3次元画像の会議とのことであった。TVと名前がついているためかどうかわからないが、残念ながら、やはり実用的なステレオ系の発表がほとんどだった。会議が2トラックで3日間に渡って開催されたにも関わらず、ホログラムに関する発表は、我々の2件とOnural先生のところの1件、それにチェコWest Bohemia大学のRobaz氏が行ったCGHに関するチュートリアルが1件と大変お寒い状況であった。Onural先生にその点について聞いてみると、みんなCGHの難しさがよくわかっていて、実用性が見えないので誰も取り組まないとのことだ。このあたりの事情はアメリカとまったく同じである。4月に参加したDS2011でも、ホログラムのセッションで発表していたのは全員日本人だったから。逆に言うと、どうして日本人はこうもホログラムが好きなんだろう・・・ ちなみに,出発直前にOnural先生に連絡を取り,我々のホログラム展示スペースをもらっていたので6作品を展示したが,やはりこれは大盛況であった.誰も本格的なコンピュータホログラムを見たことがなく,大変興味を持ってくれた.Turkey 193.jpg

講演の方は,Orunal先生のグループが位相型SLMを6台使った電子ホログラフィシステムを発表していた以外,特筆すべきはRobaz氏が行ったCGHのチュートリアルだった.参加者の大半がそもそも波動光学やホログラムを知らないということで,非常に基本的な干渉・回折の説明から始まった.さて,問題はホログラムがなぜ完全な3次元立体像を再生するか,どうやってその原理を聴衆に納得させるかだ.私も非専門家向けの講演でしばしば苦しむところである.海外でコンピュータホログラムを展示していて,どうしてこんな風に見えるんだ!! と外国人に詰め寄られてタジタジとなったこともある.

 CGHのチュートリアル

さて,Robaz氏の解答は・・・
Robatz氏は,まず二つの平面波の干渉により回折格子ができることを数式混じりで示し,次にこの回折格子により光がどのように回折されるか,グレーティング方程式を示した.そして,ホログラム記録時に物点の点光源と参照光との干渉により局所的に様々な周期の回折格子ができること,さらにホログラム再生時にはこの回折格子群による回折波の向きが虚像として再生される点光源から発するものと一致し,物点(点光源)が再生されることを示した.ほんの数枚のスライドであったが,どこぞのバラエティ番組のレポーターのごとく,ヘッドセット型のマイクを耳に付けたRobaz氏は演壇背後の大型スクリーンに投影された図式を,ポインタ等使わずに走り回って手足で説明しながら,確かにそうなりそうな気にさせてくれた.こう書くといい加減な説明のようであるがなんとなくわかった気にさせるというのは非常に重要で,かつ難しいワザである.お見事という他なかった.後から彼に聞いてみると,このホログラム原理の説明は,ファインマンの教科書と誰かの教科書からすこしアイデアをもらって繋ぎ合わせたものだと言っていた.

Turkey 077.jpg

ちなみにこのRobaz氏,元々はCGの分野の出身で,Onural先生の薫陶を受けてCGHの研究を始めたという若手だ.私や他の日本人のCGH研究を非常によくリサーチしてくれていた.我々のホログラムを会場で展示した時に初めて顔を合わせたのだが,私の名前がわかるなり握手を求めてきて,あなたは私のヒーローだとジョーク混じりで非常にうれしいことを言ってくれた.

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.laser.ee.kansai-u.ac.jp/WaveFieldTools/mt/mt-tb.cgi/39

コメントする

このブログ記事について

このページは、matsuが2011年5月27日 13:55に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「コンピュータホログラム作品のライセンス表示」です。

次のブログ記事は「コンピュータホログラフィの概念」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。